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千日紅

積み上げた手紙を破り捨てた あぜ道に

両足を晒した浮体は痛みを求めた

 

もう戻れやしないから

空蝉 乾く喉が

夏の最期を叫ぶよ

 

抜け殻を残したまま消えて往くの

蕾を落とした千日紅

眩むような日差しの中、騒ぐ風が

どこかへ連れ去ってくれるのを待っていた

 

寄り添って並べた小石たちは どこにある?

転ばないはずだった素足を引きずり歩いた

 

疑うことはなかったの

半鐘 呻く焔

夏を壊して飲み込む

 

朽ち果てた花を探し巡り巡る

夜風が揺らした千日紅

また空に星が見えるようになれば

儚い灯火に触れられる気がした

 

滲んだ目に淡い栞たち

紡いでいた物語の

続きは決められていたはずなのに

 

もう一度花を集め風に乗せて

手紙に包むよ千日紅

この手からこぼれ落ちた紅い種が

どこかで芽吹いているのなら

 

晴れ間から熱を帯びた兆しを見る

朝日が照らした千日紅

いつまでも胸に抱いて離さないから

咲かせてみせるよって書き記して飛ばそう

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