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離心律

 

待ちぼうけだね 馬鹿みたいだって

今更だけど 思い出すのは

貴方の夢を 見ていたせいだ

目覚なければ なんて思うのは

 

貴方の顔も 匂いも声も

触れた頬の 手触りだって

わすれてしまう

わすれたことも

日々の波間に 揺られて

 

とけてく 記憶によりそって

くりかえして何千回の

この愛しい喪失感も

波に消えて

 

忘れてしまうのは 救いじゃなかったよ

そんなのは欲しくなかった

傷跡深く抉って

もう一回だけ 痛みで満たして

 

せわしい秒針に 目が回っていて

ふと気づいたら 大人になっていた

暮れの残照に 抱く感情も

まばたきすれば かすれてしまう

 

乾いて消える 涙の跡も

部屋に残る 残り香だって

わすれたことも

わすれてしまう

いつか独りに なってしまうよ

 

消えないで 痛みよ引かないで

その淡い願いだって

一瞥だってしないで

押し流してく光に 溶けてく

時計よ止まってよ

反芻する何千万回の

胸掻き乱す疼痛を 奪わないでよ

愛してたんだ

 

ああ

もう夢の中でも

逢えない貴方に

さよなら

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